概要:
4D STEMとは?
走査透過型電子顕微鏡法(STEM)では、電子ビームは電子線が透過可能な試料上に絞られ数ナノメートルから原子の寸法に近いサイズのプローブを作ります。電子は試料と相互作用し散乱されるため、様々な分析のための信号が生成されます:
- X線 (EDS)
- 反射電子
- 光(カソードルミネッセンス)
- オージェ電子
- 二次電子
- 非弾性散乱電子 (電子エネルギー損失分光法)
- 弾性散乱電子 (電子線回折)
4D STEMでは、電子プローブが試料上を二次元のアレイとなるようにラスター走査されます。各プローブ位置において、二次元の回折図形がピクセル検出器で撮影され、結果として四次元のデータキューブが生成され、さらなる解析を行うことが可能です。
Video courtesy of Colin Ophus, Molecular Foundry4D STEMの用途
下記は材料科学における4D STEMアプリケーションの様々な可能性の例です。各手法に対する解析例と詳細情報についてはこちらを参照してください Microscopy and Microanalysis 25, 563-582, 2019。
- 仮想像観察 – ひとつの4D STEMデータからの仮想制限視野電子線回折や仮想明視野/暗視野像観察
- 方位マッピング – 非常に小さなスケールで材料の結晶方位を研究
- ひずみマッピング – 4Dデータ中の回折図形から局所的な格子の歪みを測定することによって材料中のひずみ分布をマッピング
- 微分位相コントラスト – 各スキャン位置における透過電子ビームの位相の僅かなシフトを測定することによって局所的な電場や磁場をマッピング
- タイコグラフィ– コントラストと構造情報の詳細を強調した超高分解能像を生成するために試料を透過する電子波の位相と振幅を再構築
4D STEMのアドバンテージ
機能 | アドバンテージ |
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高い空間、角度分解能 | 高い精度でナノメートル、または原子スケールで材料のキャラクタリゼーションが可能 |
多彩なデータ取得と自由度の高い像観察モード | 各スキャン位置で完全な回折図形を取得し、上記の様々な後処理の解析が可能 |
マルチモーダルデータ取得 | eaSI テクノロジーはEELSとEDSに4D STEMを組み合わせ、研究対象の試料を包括的に理解します |
その場実験との互換性 | 時間の次元を加えることで(5Dデータ)、様々な条件下における構造変化のリアルタイムモニタリングが可能 |