仮想像観察

4D STEMによる電子線回折実験の主な用途のひとつが仮想像観察です。以下の生成像が利用可能です:

  • 仮想制限視野電子線回折図形:4Dデータキューブ内の複数の実空間のプローブの箇所(ピクセル)から回折図形を積算
  • 仮想明視野/暗視野像:回折図形データ中の複数のピクセルの信号強度に特定の演算処理(加算、減算…)を適用し、仮想像中の相当するピクセルにその信号強度を適用

通常のSTEM像観察と比較して、仮想像観察は:

  • 実際の電子顕微鏡では物理的に製造、使用することが不可能なSTEM検出器を、さまざまなジオメトリと組み合わせでデザインし使用することが可能
  • 実験中に同時に使用可能なSTEM検出器の数や取り込み角度範囲の制限が無い
  • シグナルノイズ比に優れ、試料の湾曲や動的散乱による影響を受けにくい (Ultramicroscopy 155, 1–10, 2015)