EBSD

電子線後方散乱回析法(EBSD)によって材料の結晶方位や組織を調べることができます。

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概要: 

電子後方散乱回折(EBSD)法は、材料の微細組織と物性の関係を理解するために必要な材料微細組織の解析を行うことができる手法です。

特長        ワークフロー

EBSDとは?

入手性のよい材料において、使用用途に合わせ材料特性を向上させることは、技術と経済の進歩にとって極めて重要です。材料科学者は、材料の加工性、および加工により生じる重要な特性の相互作用を研究し、使用される用途に合わせて最適化された材料の開発を行っています。このような研究の中心にあるのが材料の特性評価であり、EBSD法による特性評価は、ナノからメゾスケールまでの解析に最適なツールです。

EBSD法は、材料工学や地球科学における結晶微細構造を評価するための重要なツールです。EBSDは走査型電子顕微鏡(SEM)用の結晶方位の分析装置であり、結晶材料の材料特性を決定する上で重要なパラメータである粒径、結晶方位、粒界、微細組織に関する定量的なデータを収集することができます。微細組織と材料特性との関係を理解することで、研究者やエンジニアは、構造用金属、セラミックス、エネルギー材料、半導体、自動車、航空宇宙、積層造形などの様々な用途向けに、優れた性能、軽量、高強度、高速の材料を開発することができます。EBSDはまた、貝殻、化石、隕石、岩石、鉱物など、様々な結晶構造を持つ地質試料の特性に関する微細組織の情報を得るためにも有用です。場合によっては、EBSDはこれらのデリケートな試料を分析できる唯一の技術となる場合もあります。

EBSDは、ナノスケールの局所領域の方位を正確かつ高速に測定を行うことができるSEMベースの技術です。EBSDパターンは、大きく傾斜した(~70°)試料に電子ビームを集束させて得られます。得られた回折パターンは、蛍光スクリーン(EDAX Velocity™検出器など)または直接検出センサー(EDAX Clarity™検出器など)で検出されます。EBSDパターン内のバンドは、結晶の回折面の幾何学的投影を表します。これらのバンドの角度関係を解析して、3バンド法により読み込まれた結晶データから方位と相を決定します。オペレータがEBSD検出器の調整・画像処理の設定を行い、観察領域とステップサイズを定義すると、システムは自動的に方位測定のスキャンを実行します。得られた方位マッピングデータを基に、さまざまなマップ、プロット、チャートを通して材料微細組織に関する豊富な情報を解析することができます。また、EBSDはエネルギー分散型X線分光法(EDS)のような異なる技術と組み合わせることで、材料の化学組成に関する情報と組み合わせて相分離することができ、材料のより包括的な解析を行うことができます。

EBSD製品とアプリケーションの詳細については、EDAX.co.jpをご覧ください。

EBSDの利点

EBSDは、ナノからメゾスケールでの領域にて、結晶方位情報を基に微細組織を迅速に定量評価することを可能にし、研究者が様々な材料の加工-微細構造-特性の関係を理解する上で特有の解析を行うことができます。

機能 利点
結晶方位を迅速かつ正確に測定 統計的に有意な材料微細組織を可視化し定量的に表現
試料の集合組織や方位分布を解析 材料特性に影響を与える可能性がある特定の方位がどの程度集合しているのかを解析
変形した材料の方位差を測定 全体的な方位差のみならず、局所的な方位差の分布・勾配を評価することができる
相の同定と識別 EBSDとEDSを使用して局所的な相を決定できる
粒界・異相界面の解析 相対方位関係から双晶粒界や特殊粒界・異相界面の解析を行うことができる
方位差に基づいた結晶粒径の測定 方位差に基づき、安定した結晶粒の認識・粒径分布が可能 双晶粒界のような特殊な方位関係を除外した粒径分布を解析可能

 

 

ワークフロー

Step 1: 試料調製

EBSDでは、回折パターンに影ができないように試料表面を平滑にする必要があります。また、切断・研磨により導入される歪層を十分に除去できないと、材料本来の微細組織を観察することができません。EBSDに適した表面の得る方法の一つに、PECS™ II装置のような全自動アルゴンイオンミリングシステムがあります。

PECS II装置は、ダメージのない表面、断面を作り出し、帯電を保護または除去するためのコーティングを蒸着することができる多機能装置です。液体窒素による冷却機能も標準搭載しています。

試料調製 YouTubeプレイリスト

Step 2: データ収集

EBSDシステムは、ユーザーによって定義された試料の特定の観察領域にておいて、各測定点のEBSD回折パターンをキャプチャし、結晶構造と方位を決定するために指数付けされ、方位マッピングデータが収集されます。相分離をより正確に行うために、EDSなどの関連技術と組み合わせて使用することもできます。

EBSDデータ収集の詳細については、EDAX.co.jpをご覧ください。

Step 3: データ解析

EBSDは、様々な強力なポスト処理解析技術を利用することができます。EDAX OIM Analysis™は、方位マッピングデータからの微細組織を可視化・定量的な評価を行うための解析ツールです。生データからEBSDマップを作成することで、結晶学的な微細組織の方位、相分布、結晶粒径と形状、粒界構造、局所的な方位差に関する詳細な解析データを得ることができます。この情報は、ユーザーが材料の微細組織の詳細を可視化し、特性評価し、理解し、伝えるのに役立ちます。

EBSD解析ソフトウェアの詳細については、EDAX.co.jpをご覧ください。

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