eaSI™: STEMを用いた測定を組み合わせ、同期し、そしてリンクします
スペクトルイメージングとは?
走査透過型電子顕微鏡法(STEM)では、電子ビームは電子線が透過可能な試料上に絞られ数ナノメートルから原子の寸法に近いサイズのプローブを作ります。電子は試料と相互作用し散乱されるため、様々な分析のための信号が生成されます:
- X線 (EDS)
- 光 (カソードルミネッセンス)
- 二次電子 (DigiScan 3)
- 非弾性散乱電子 (EELS)
- 弾性散乱電子 (4D STEM)
試料中の詳細を明らかにする二次元、三次元、そして四次元のデータセットを生成するために、走査モードで一次元のスペクトルや二次元の回折図形の空間的な分布を記録することが可能です。スペクトルイメージング(SI)として知られるこの手法では、自動的に可能な試料からの情報を最大限に収集するため、あらかじめ指定した試料上の範囲をシステマチック(多点、線、面)に照射します。
eaSIとは
ひとつのSTEMの観察・分析手法で試料を解析することは、材料を完全に理解し材料の特性や振る舞いを説明し予測する上で不十分なことが多いです。結果として、ほとんどのSTEMを用いた実験では、様々な検出器から得られる複数の相補的な信号を取得します(STEM像、EELS、EDS、4D STEM)。この場合、異なる検出器から得られた一連のデータが空間的、時間的に相関され、さらにそのような相関付けされたデータの解析が複雑ではないことが課題となります。eaSIはこれを実現するテクノロジーです:
組み合わせ: 一連のデータ間で空間的に相関付け |
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同期: 一連のデータ間で時間的に相関付け |
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リンク: 相関付けされたデータの解析のための共通化されたツール |
eaSIの利用例
このデータでは、完全に自動化されたマルチモーダルのその場加熱実験を行い銅酸化物から金属銅への還元過程を捉えています。この不可逆的な熱分解は、微細構造、結晶学的、そして化学的な同時変化を伴います。この実験では、複数の分析手法(EELS、EDS、4D STEM)を必要とするため、これまでのシステムでは行うことが困難でした。試料内部での空間的・時間的な変化を記録するには、多くの場合、手動の人力による努力が必要となります。
eaSIでは、ひとつのコンピュータとソフトウェアのインターフェイスを用いて、異なる検出器から得られる信号を自動的に組み合わせ(空間的に)、そして同期(時間的に)してこの実験を行うことが出来ます。手動で行う測定と比較して、eaSIを用いた自動化によって温度分解能を25倍、操作者の生産性を300倍改善し、そしてヒューマンエラーに起因する不可避な不正確さを排除することが可能です。
ひとたびマルチモーダルのデータの取得が完了したら、解析と処理に移ります。下記の結果では、DigitalMicrographソフトウェアでひとつのSTEM実験としてeaSIテクノロジーがどのように真に空間的に相関された化学情報のデータ(EELS)と結晶情報のデータ(4D STEM)を評価したのかを示しています。eaSIはSTEMモードで取得したデータ間をリンクさせ、相関付けされたEELSと4D STEMデータの解析のための共通のツールを提供しています。ここでは、ガドリニウム処理されたカーボンナノホーンにおける個々の結晶を識別するために4D STEMの仮想絞りを用いた解析を最初に行っています。続いて、同じ結晶からのEELSスペクトルを解析し、これらの領域内にガドリニウムと酸素の双方が存在していることを確認しています。
eaSIのアドバンテージ
機能 | アドバンテージ |
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マルチモーダルSTEM解析のための最適なツール | STEMに最適化されたEELS、EDS、4D STEM検出器を幅広く取り揃え、研究をさらに進める |
研究に新たな次元を提供 | 3D EELS、3D EDS、4D STEMデータにおける動的なその場観察を実現し、ナノ材料やデバイスをリアルタイム、かつ実環境でより良く理解することが可能。 |
マルチモーダル、そして多次元データ間でシームレスにリンク | DigitalMicrographソフトウェアで3D、4D、5DのSIデータをリンクし、材料やデバイスの新たな化学的、組成、形態、構造機能の情報を、より高い信頼性で視覚化 |
有意な結果を得るまでの時間を短縮(セットアップ、データ取得、データ処理) | 単一のDigitalMicrographソフトウェアの最も効率的なワークフローを利用し、経験に依らず数分で多次元かつ相関付けされた結果が得られる |
速度と機能の間で妥協する必要が無い | 最新のDigitalMicrographソフトウェアのSTEM SI機能がモード間の複雑な切り替えと測定外の時間を無くし、同時にそれぞれの独立した測定で期待される高い精度を維持 |
不可能を可能に | スクリプト機能の活用によってワークフローを簡単に拡張することが可能であり、実行困難な実験自体を無くす |
Applications
GIF Continuum K3で取得したTb3Sc2Al3O12STEM EELSマッピングにおける分解能~1 Åの実現 |
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eaSI 4D STEM アプリケーション
Magnetite nanoparticle orientation mapping from a 4D STEM dataset |
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